「雨上がりのエスカレーター」

出会い系

冷たい雨が降る、肌寒い11月の午後。
人で賑わう駅ビルのショッピングモールに、美優(みゆ)は一人で立っていた。友達との約束までの時間つぶしにふらりと入ったけど、何をする気力も湧かず、ただぼんやりとウィンドウ越しに街を眺めていた。

その時、足元に冷たい雨水がさらわれ

。すみませんそうにハンカチを取り出し、「拭きます!」と黙ってしゃがみ込みます。

「いえ、大丈夫です。気にしないでください」
美優は手を振って微笑んだ。傘を閉じた男性は少し戸惑って顔を上げて立ち上がった。

「本当にすみません。ちょっとやっといて……あ、傘、大丈夫でした?」
そう言いながら彼は美優をじっと見つめる。短髪で清潔感のある顔立ち、すらりとした背丈に落ち着いた声。美優の胸は特にきゅんと音を立てた。

「えっと、傘は大丈夫です。少し濡れただけですし」
美優は心のざわめきを隠しながら答えた。

「それでも本当に申し訳ないので、警戒させてください」
彼は真剣な表情で帰ってくる。

モール内のカフェに入ると、外の冷たい雨が嘘のように暖かい空間が二人を包んだ。
彼は自ら「清水和也(しみずかずや)」と名乗り、仕事の合間に入って話してくれた和也は落ち着いた話し方で、美優に不思議な安心感を感じました。

「美優さんって、天気雨が似合いますね」
ふいに言われ、美優は驚きと照れさで顔を赤らめました。

「雨ですか?そんなの似合うとかあります?」
彼女は少し笑って返した。

「ありますよ。なんていうか、雨って静かだけど、どこか感情的な感じがするんです。それが美優さんの雰囲気と似ている気がして」その言葉に、美優は胸の奥
が初めて会ったばかりの彼が、こんな風に自分を表現してくれるなんて。

「そんなこと言われたの、初めてです」
小さな声で呟く美優に、和也は優しく微笑んだ。

カフェでのひとときが終わり、二人は再びモールを歩き始めた。 雨上がりの空気が透明感を保ち、モールの外はいつの間にか夕暮れになっていた。 エスカレーターを降りる途中、美優はふと
和也の横顔真面目そうな目、少しだけ抜けた眉、口元の柔らかさ。胸の中で何かがぽつり弾ける。

「また会えるかな?」
その言葉が美優の心に浮かんだ瞬間、和也が振り向いて言った。

「今日は本当にありがとうございました。もしよかったら、次も……」その続きを
読むに、美優は自然と笑顔でうなずいていた。

雨が上がり、街に少しだけ早い冬の気配が漂った。美優は、また彼に会える日のことを思い描きながら、温かい期待感に包まれていた。