夜空に響く君の声

アダルト

冷たい風が吹き抜ける冬の夜。凍える手をポケットに挑戦して歩いていた美咲(みさき)は、ふと足を止めた。大学の帰り道、いつも通る河川敷のベンチで、一人の男性がギターを弾いていた小さなランプが足元を照らし、その光に出会う横顔は、どこか寂しげで、ながらも温かさを感じさせた。

「きれいな音…」美咲はつぶやいた。

それは言葉というより、思わず漏れた感想に近かった。 彼のギターの音色は、冬の夜空を震わせて美しかった。

弦をはじく彼の扱いにくい、美咲の存在に気付いたようだ。 彼は顔を上げて、優しく微笑んだ。

「ありがとう。聞いてくれた?」

「えっ、あ…はい!とても素敵な音で…」美咲は黙って答えた。

「ありがとう。でも、寒い中無理させちゃってごめんね。名前は?」

「美咲です。あなたは?」

「俺は春樹。いつもここで弾いてるんだ。良かったらまた聞いてよ。」

春樹の笑顔はどこか暖かく、美咲は心ぽっと温まるのを感じた。 その日以来、美咲は通学の帰り道、河川敷のベンチに足を運ぶようになった。 春樹は美咲が来るたびに、新しい曲を聴かせてくれました。

「春樹さんって、なんでここで弾いてるんですか?」

ある夜、美咲は勇気を出して頑張った。

「俺、プロを目指してたんだ。でも、うまくいかなくてね。だけど、ギターを弾いてるときだけは自分に戻れる気がするするんだ。」

その言葉に、胸がきゅっと締め付けられるような気がした。夢を追い続ける姿はかっこよかったが、その裏に隠れた苦悩に触れると、何かをしてあげたくなった。

「春樹さん、きっとまた夢を叶えられますよ!」

「美咲がそう言ってくれるなら、少しは信じてみようかな。」

その夜から、美咲は小さなメモ帳に春樹への応援メッセージを毎日書き、こっそりベンチの近くに残された。

ある夜、いつものようにベンチを訪ねて、春樹が立ち上がり、美咲に問いかけてきた。

「美咲、これ君だよね?」

春樹の手には、美咲が書いたメモが握られていた。

「えっ…あの、それ…」美咲は赤い面し、言葉に詰まった。

「ありがとう。これ、本当に励みになってる。こんな風に応援してもらったの、初めてなんだ。」

「だって、春樹さんのギター、すごく素敵だから…もっと多くの人に聞いてほしくて。」

春樹は静かに微笑み、美咲を見つめた。その葛藤に、胸が高鳴る。

「美咲、君のおかげで少しだけ自信が持てたよ。だから…君のためにも、もう一度夢に挑戦してみようと思う。」

春樹の言葉に、美咲の目に涙がにじまった。

その日から、二人の時間はさらに特別なものになった。 春樹は練習を重ね、ついに小さなライブハウスで演奏する機会を得た。 ライブ当日、美咲は観客席の最前列で見守っていた。

春樹のギターが響く響き、彼の歌声が会場を包み込む。その瞬間、美咲は確信した。彼はきっと、もっと大きなステージへ羽ばたいてゆく。

「最後に、大切な人に捧げたい曲があります。」

そう言って春樹が弾き始めたのは、美咲が河川敷で聞いていたあの曲だった。

春樹の論点が美咲に向けられる。 美咲は胸がいっぱいになり、涙が止まらなかった。

「ありがとう、美咲。君が来てくれたから、私はここで悩んだ。」

ステージの上から語りかける春樹の言葉に、美咲は微笑んでうなずいた。

その夜、美咲と春樹の間流れる音楽は、二人だけの特別なものとして深く心に残りました。